大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成4年(行コ)20号 判決 1992年7月14日

千葉県佐倉市新町五〇番地一

控訴人

小澤功子

東京都千代田区霞が関三丁目一番課号

被控訴人

国税不服審判所長 杉山伸顕

右指定代理人

川田武

仲田光雄

河田秀尾

上田幸穂

右当事者間の裁決取消請求控訴事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  控訴人

原判決を取り消す。

被控訴人の裁決を取り消す。

2  被控訴人

主文と同旨

二  控訴人の主張

原審は、東京地方裁判所平成三年(行ウ)第一七二号裁決取消請求事件は千葉地方裁判所平成三年(行ウ)第一七号事件(充当、督促にかかる裁決の取消請求事件)が移送されたものであるとして判断しているが、そうではなく、千葉地方裁判所平成三年(行ウ)第一三号事件(更正処分にかかる裁決の取消請求事件)が移送されたものである。

控訴人が本件で主張する原判決の誤りは、原審が右のとおり別件と取り違えて判断した点である。

三  証拠関係

証拠関係は、本件記録中の書証目録記載のとおりである。

理由

一  本件記録によると、次の経過が明らかである。

控訴人は、千葉地方裁判所に対し、平成三年五月二一日、(1) 更正処分にかかる被控訴人の裁決の取消請求事件を提起し、同事件は同裁判所平成三年(行ウ)第一三号事件として係属し、次いで同年六月一日、(2) 原判決事実摘示の成田税務署長のした充当及び督促にかかる被控訴人の裁決の取消請求事件を提起し、同事件は同裁判所平成三年(行ウ)第一七号事件として係属した。

そして、千葉地方裁判所は、同年七月一五日、(1)(2)の両事件をいずれも東京地方裁判所に移送する旨の決定をしたところ、(1)の事件は、東京地方裁判所平成三年(行ウ)第一七三号事件として民事第二部に係属し、(2)の事件は、同裁判所平成三年(行ウ)第一七二号事件として民事第三部に係属した。

本件の原判決は、東京地方裁判所民事第三部が右(2)の事件についてした判決である。

二  以上の経過は、本件記録上明らかであって、控訴人の理解は誤解というのほかはなく、控訴人の前記主張は失当である。

なお、本件における成田税務署長の充当及び督促は、いずれも審査請求の対象となる国税に関する処分とはいいがたく、また、控訴人の各審査請求を棄却した被控訴人の本件裁決の取消しを求める本件訴えは、その利益を肯定できないものというべきである。

よって、本件訴えをいずれも不適法として却下した原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 佐藤繁 裁判官 岩井俊 裁判官 坂井満)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例